発達障害の子はロボットなの?

 

発達障害の子、特に自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群を含む)の傾向がある子の場合は、何だかロボットみたいな特徴が見られることがあります。
例えば、他人の気持ちを理解しにくい、融通が利かず頑固なところがある、突然の変更が苦手でいつもと同じことを好む、一度に一つのことしか意識を向けられない、興味の範囲が狭く執着するなどの特徴があげられます。

 

このような場合、親が身につけて欲しいと望む習慣を子ども自身が自然と学んで身につけるのは確かに期待しにくいかもしれません。また子どもがその都度自分で考えて適切な行動をとるという面では苦手なことが多いでしょう。

 

確かにこのような特徴はマイナスにとらえることもできますが、それを活かして本人の成長につなげるという発想もできるのではないでしょうか。

 

要するに発達障害の子はシステム化されたものが得意なのです。

 

ですから、発達障害の子どもの場合は周囲のサポートにより、生活や学習面での望ましい習慣をシステムの一つとして組み込んであげれば、他の子より定着しやすいと言えるかも知れません。

 

健常人にとっては継続が大きな壁となる事柄も、発達障害の子は自分の従うべきシステムとして淡々と続けていける可能性が高いのです。

 

そうなると「継続は力なり」と言われるように、良い習慣をいくつもシステム化し継続することで、大きく成長できる可能性を秘めているのではないでしょうか。

 

うちの子もそのようにして徐々に身につけてきた習慣によって、生活面や学習面で困ることがかなり減ってきたように感じています。

 

例えば、以前は朝に何度起こしてもなかなか起きず、一度起きても学校に行く直前まで二度寝するという状況でした。

 

それでポイントカードを作ってあげて、自分で起きれたらポイントをつけ、それが一定数たまるとご褒美を用意しました。その結果、徐々に自分で起きる習慣ができてきました。

 

今では自分で毎朝6:30に目覚まし時計の音で起きるようになり、学習教材を2ページ勉強するようになっています。

 

半分はポイントがたまったときの特典が目当てなのですが、それでも親もガミガミ言わずに済みますし、子どもとしては逆に褒められるので朝から気持ちよく過ごせるのです。

 

このように今の生活面や学習面、さらには対人関係面で子どもが困っていることや不都合が生じることについて、それぞれどのような習慣やスキルがあれば克服できるかを親が考え、それを習得するためのプログラムを組んでみるのは良い方法です。

 

少し表現に問題があるかもしれませんが、イメージとしてはロボットにプログラムを与えて、ひとつひとつできることを増やしていくという感覚です。

 

ロボット化のステップ

子どもがひとつひとつ良い習慣やスキルを身に着け、日常生活での摩擦や困りごとを減らすためのステップを考えてみました。

 

ステップ1 困りごとをリスト化する

まずは子どもの今の生活の中で問題となっていること、不都合が生じていることを小さなことでもすべて書き出してみます。親の観察でもいいですし本人が話してくれるなら本人の意見も参考にして全てをリストアップしてみます。

 

ステップ2 優先順位をつける

書き出した問題の全てを一度に解決しようとすると無理が生じますし、子どもも混乱することでしょう。あくまで一つずつプログラミングし、ひとつを確実に習得できたら次に進むというスタンスでいきます。そのためには解決すべき問題に優先順位をつけることが必要になってきます。この時に最初からあまりに大きな問題や解決の難しい問題に取り組むと、結果が出る前に親も子も疲れてしまうかもしれません。それで最初はすぐに結果が出やすいものからはじめると良いかもしれません。

 

また大きな問題であっても、細分化したり、中間目標を設定することで取り組みやすくなることがあります。例えば、友達との遊ぶ約束が上手にできないのであれば、まずは時間と場所を紙に書いてから友達に渡すというような比較的簡単な目標から取り組むと良いと思います。

 

ステップ3 プログラム化する

習慣やスキルを確実に身につけられるようにするためには、問題が生じるたびにその都度言って聞かせるというよりも、一定期間をかけてプログラムとして取り組むことが必要になってきます。そのためには、ゴールとする目標、達成までの期間、実施のためのルールや具体的な方法、達成度のチェックや評価の方法、必要ならご褒美などを設定し、視覚化しておくと良いでしょう。プログラムに面白いネーミングを付けるなど、子どもがゲーム感覚で楽しく参加できるよう工夫してみてください。

 

ステップ4 プログラムを実行する

子どもと話し合い、習慣やスキルを身につけることのメリットや大切さ、先に待っている報酬、具体的にやるべきことを伝えます。子ども自身がそれを達成したいと願うよう意欲を高めてあげてください。そして、意欲が冷めないうちに早速実行していきます。新しい習慣をつくることは親にとっても大変なことですから、親もプログラムが成功したときの自分へのご褒美を用意しておくのもおすすめです。

 

実行に際して大事なことは常に褒めることです。子どもがやる気を無くすとプログラムもそこで終わってしまいますから、あまり厳しくなりすぎるのは避けて、少しぐらいの不足は大目に見るということも必要なときがあります。とにかくある程度の結果が見えて成功体験をつかむまで続けるということを重視しましょう。

 

ステップ5 プログラムを修正する

最初に思い描いたとおりにプログラムが進むことは少ないかもしれません。上手くいっていないと感じたときは微調整が必要です。気づかなかった抜け穴が見つかったら子どもに説明してルールを追加したり、負担が大きすぎるようだったらもう少しレベルを下げてみたりといった修正をしていきましょう。子どもが達成できなくて自信をなくすようなプログラムになってしまっては全く意味がありません。

 

ステップ6 達成を共に喜ぶ

プログラム期間を終えたなら、あるいはある程度の習得が見られたなら、共に達成を喜び最大限に努力をたたえましょう。回転寿司で外食するなど軽いイベントもおすすめです。そのようにして、また次のプログラムに取り組むための意欲を起こさせます。

 

ロボット化の注意点

発達障害の子は一度何かの習慣やスキルを習得すれば、それを継続して行う傾向がありますが、習得するまでの道のりは決して楽ではありません。

 

これまでと違うことはしたがりませんし、何度言い聞かせても同じ失敗をすることも多いです。勝手に自分のルールをつくりはじめたり、すぐに抜け道を見つけようとすることもあります。

 

おそらく予想以上の時間がかかることでしょうし、親の辛抱も試されることでしょう。

 

ですから、いろいろと工夫が必要です。

 

モチベーションを保つための工夫、視覚化することや具体化することで理解させる工夫など、本やネットも参考にしながらアイデアを練っていきます。

 

確かに大変ですが、それでも子どもにガミガミ言わなくてもよくなると親としてはとても楽になりますし、子どももストレスが減るので落ち着くようになり、自信をつけていきます。

 

何よりも子どもが少しでも成長していく姿が見られるのは親にとって喜びですし、希望も湧いてきます。

 

でも、もちろん子どもをロボットにすることが目的ではありません。

 

ここを正しく理解しておかないと、親は子どもを思い通りにしたいという欲望を強めてしまうことになりかねません。

 

ロボット化計画はあくまで生活上の困難に対する一時的な対処法であって、最終的に目指すところではないのです。

 

最終的には、子どもが自分で考えて適切な判断をし、自分で意欲を湧き立たせて成長していけること、そして他人の気持ちもよく理解できて自然な優しさを示せる、そんな人間味あふれる子に育って欲しいと願っているのではないでしょうか。

 

アスペルガーADHD発達障害改善マニュアルを通して学んだ点ですが、発達障害の子達は本来は誰よりもやさしくて人間らしいのです。

 

誰よりも人間らしいからこそ、現代の管理社会の「つくられた人間性」に強い違和感を感じ、無意識にロボットのように振舞うことで自分を守ろうとしているのです。

 

ですから発達障害があっても、その人間らしさを十分に発揮できるところを目指すのをあきらめてはいけません。

 

ただ、発達障害の子がそのレベルに成長するのには、相当の時間と支援が必要になることでしょう。それまでの期間は周囲との摩擦をなるべく減らし、子どもの感じるストレスを軽減して二次障害を防ぎ、生活の不便さを解消してあげなければなりません。

 

要するにロボット化はいわば時間稼ぎなのです。

 

困難な期間を何とか「しのぐ」ための時間稼ぎとして、習慣やスキルの力を利用して乗り越えようというわけです。

 

ここを親が正しく認識しておかないと、親がいないと何にもできない依存体質の子が育ってしまうかもしれませんから要注意です。

 

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